ネタバレになるが、時の女神というタイムトラベル系のマスターピースについて書かせていただきました。
特別お題「わたしの推し」
超名作小説!時の女神。タイムトラベル系マスターピース!
今日はわしが大好きな名作タイムトラベル系小説の話じゃ!
はい!(このブログは一流エンジニアになるための知識のブログじゃ,,,,)
時々、観たくなる超名作ドラマ。それが筒井康隆先生原作の『時の女神』である。
筒井康隆先生は、あの映画化された『時をかける少女』の作者でありSF会の超重鎮であり、『七瀬ふたたび』、『八景家族』、『笑うな』、『時をかける少女』等々の名作を沢山手掛けた。筒井康隆という著者の名前を知らずとも、聞いたことがあるタイトルも多いのではないか?
個人的に今でもよく思い出すのがこの二つの小説。
『最後の喫煙者』
と
『時の女神』
である。
最後の喫煙者という予言小説と並ぶ双竜的存在
『最後の喫煙者*1』は、喫煙スペースがなくなる、または喫煙者たちが敷地の隅に追いやられていくのを見るたびに思い出す。あらすじは、健康ファシズムが暴走し、喫煙者が国家的弾圧を受け、迫害された地球最後のスモーカーである小説家の戦いの話だ。現代において、喫煙者が敷地の隅に追いやられていく様子を見ると、最後の喫煙者の小説の世界が予言書のように思えてくる。。。ちなみに2002年発行の作品。
どんだけ、先がみえているのか。(どんだけ~とIKKOさんが脳内をリフレインする。)
で、表題の『時の女神』は、喫煙とは無縁であり、マドレーヌ*2とも無縁であるが、花屋の前を通るたびに思い出してしまう話。
花屋の前で涙する人間がいるとすれば、『時の女神』ファンか、花粉症患者の二択だろう。
時の女神を読みたいならば、佇む人を買う。
ここで、本屋さんに行って、時の女神探したけど、見つからないよ!って方、ご安心ください!『時の女神』は、下記の『佇む人』に掲載されてい短編小説であるので、時の女神で検索しても一生見つからないのだ。類似タイトルのよくわからん小説を間違って購入することのないよう、ご注意頂きたい。
いや、いかんいかん、時の女神様をけがしてはならない。さて、時の女神は、タイムトラベルというジャンルのストーリーとしては、個人的にはトップクラスの完成度だと思っている。しかしながら意外と知られていないという、マーケティングに完璧に失敗しているのではないかと思う謎めいた小説でもある。そんなインディーズ感もまた特別感が出すのに一役買っており、例えるならば、ちょっと地味な女子が実は眼鏡を取ると超絶美人&巨乳という少年漫画的圧倒的ヒロイン感が増す的な要素を持たせているのだ。
清らかな気持ちで読むべき、いや、これはもう読むべきではなく拝むものかもしれない。
聖書であり、恋愛小説。
さてさて、本題の『時の女神』。
この伝説の小説の存在を知ったのは、実はドラマがきっかけ。
こちらも日本の神様として信仰されているタモリ様がご出演なさっている『世にも奇妙な物語』にてドラマ化されていたのだ。
ドラマ化した人も神。
ありがたや、ありがたや。
初めて見終わったときの感動は衝撃だった。
感動し過ぎて眠れなかった。
その日は眠れなさすぎて、翌日はよく寝た。
翌日以降はとてもすっきりして過ごすことができたくらい名作だ。
時の女神のあらすじ(ネタバレ含む)
はじめに、「時の女神」の物語を他の人に説明をすると、いつも涙腺が崩壊してしまう。もはやタイムトラベル系さえも超越して、涙腺トラブル系ドラマの傑作かもしれない。
主人公の修平は、40代半ばのサラリーマン。
中学生の娘がいるが妻に先立たれており、中学生の娘を男手ひとつで育てている。上司に呼ばれ再婚を勧められるが亡くなった妻のことが忘れられないため断り自席に戻る。そして仕事をしながら亡くなった妻を思い出す。
「彼女に初めて会ったのは30年以上の前のちょうど今ごろのことだった」
~回想~
修平はまだ小学生だった。そして今日は七夕。学校で七夕の謂れを習いながら、将来の夢を短冊に書き込む。
帰り道、短冊に「宇宙飛行士になりたい」という夢を書いたことが友達にバレ、馬鹿にされて落ち込む修平。
ふと顔を上げると道の向こうに白い服の綺麗な女性がいて、こちらを見て微笑んでいる。修平は子供ながらその女性の美しさに一瞬で心を奪われる。
そしてその日の夜、短冊に「もう一度白い服の女性と会いたい」と願いを書く。
そのまま月日が流れ修平は大学生となっていた。
彼女ができ、毎日のようにその彼女と会う日々を過ごしている。
充実した青春を過ごしている修平。
大学から帰ろうと学校の門を出たところで誰かの視線に気づき振り返る。
するとそこには小学校の頃に見た白い服の女性の姿がある。
小学生のころ初めて見たときと変わらぬままの美しい女性。
あまりに突然のことで驚いて目を離した一瞬の隙に、女性はいなくなってしまう。
それをきっかけに昔に好きになった白い服の女性のことを思い出し、今付き合っている彼女のことがどうでもよくなってしまう。
そして白い服の女性のことしか考えられなくなっていく。
それから10年、修平は白い服の女性のことを忘れられずにいた。
白い女性のことを忘れない限り、他の女性と付き合うつもりがなくなっていた。
そして女性のことが自分の心から消えることはないだろうと思っていた。
白い服の女性に会いたい気持ちを抱えながら、仕事に励む日々を送っている修正だったが、そんな折、激しい雨を避けるために雨宿りしたビルの下で白い服の女性とそっくりな女性と出会う。
もちろん記憶の女性と違う女性だとはわかっていながらも、うり二つの彼女と恋に落ち、結婚する。
ある朝、出勤の準備をしていると窓辺で気持ちよさそうに風を感じている女性。
しかしふと一瞬目を離した隙に窓辺にいたはずの女性がいなくなった。
驚いた修平は急いで台所へ行くとそこには女性がいた。
「急に君がいなくなった気がして。」
安心して声をかける修平。しかし先ほどまで持っていなかった一輪の花を持っている。
女性は一輪の花を見せながら、
「私の好きな花なの。」
「でもどうしたの?その花。」
「素敵な人にもらったの。」
やがて二人の下に女の子が生まれる。
美しい妻とかわいい娘に囲まれ、幸せな日々を過ごすが女性に異変が現れる。
娘が5歳になった年、重い病にかかってしまう。
病室のベットで、修平は女性に語り掛ける。
「なあ、前から話そうと思っていたのだけど、僕は今まで2度君に会っている。
いや、君にそっくりな女性に会っているんだ。
一度は子供のころ学校の近くで、もう一度は大学生のころ。」
「それはどちらも私よ。」
「二度とも?」
「じゃあ君は年をとらないんだ?」
首を振る女性。
「もちろん年は取るわ。私は時間を自由にいったりきたりできるの。
過去にも未来にもいけるの。私は子供のころのあなたをずっと見守っていたの」
「じゃあ未来にもいったことある?」
「あるわ。一度だけあなたの将来を見に。」
「僕の未来はどんな?」
寂しそうな顔で
「それは言ってはいけないことになっているの。」
と答える女性。
そしてしばらくして女性は亡くなってしまう。
~回想終わり~
月日は流れ現在。
仕事帰りに娘を学校に迎えにいく。
中学生となり妻によく似てきた娘を眺めながら仲良く帰る二人。
帰り道、花屋があるのに気づく修平。
「花を買って帰ろう。母さんは花が好きだったんだ。」
沢山の花の中から一輪の花を選ぶ。
それはあの日、妻が窓辺から一瞬消えたように思えたあの日、
「私の好きな花なの。」
と教えてくれた花。
「素敵な人にもらったの。」
そこで修平は理解した。
「あるわ。一度だけあなたの将来を見に。」
後ろを振り返ると白い服の若いままの美しい妻の姿があった。
YouTubeでも観ることができるので、ステイホームのお供にどうぞ。
タイムトラベル系ジャンルのマイベスト、完全な推し。
タイムトラベル系というジャンルがあると思うが時の女神はマイベストであることは揺るがない。何故なら [恋愛] X [タイムトラベル系] = 最高 というかの有名な方程式があるからだ。しかし、タイムトラベル系は、他の作品もし最高だ。個人的に好きなタイトル例を挙げる。
『タイムマシン』 H・G・ウェルズ
この世にタイムマシンという概念を拡げた立役者的小説。ラストの余韻がなんともまあ、切ない。主人公は聞き役で、タイムマシンで未来や過去にいった科学者からのタイムトラベルの物語を聞く話。再度時間旅行へ出かけた科学者が帰ってこないのが想像力を膨らませるラストとなっている。
『12モンキーズ』
→フランス映画 『ラ・ジュテ』 に着想を得た12モンキーズ。人類を滅亡させるウィルスから人類を救う男の話。個人的には原作のラ・ジュテの方が好き。基本コマ送りの静止画ベースの映画だが、映画中で女性が目覚める瞬間のみ動画となる。そのときの映像が美しく鳥肌必須である。ああ、ラジュテ。
1962年のフランス映画を観ずに、12モンキーズ好きですとか語っている場合じゃねえ!
『ターミネータ2』
→1より2派です。シュワちゃんヒーロー、かつジョンコナーの天才エンジニア感が理系にはたまらなかったです。ちょっと悪いエンジニアに憧れちゃいますよね。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』
これも名作。SFコメディの金字塔。デロリアン製のタイムマシンはめちゃくちゃみんなの記憶に残った。デロリアンというのは、実は車の名称ではなく、自動車製造会社の名称なのだとか。正式名称は、デロリアン・モーター・カンパニー。価格が2万5千ドル(当時の為替レートで計算すると約1600万円)で高額なのだとか。主演が途中で降板させられたことでも有名。最初の人には申し訳ないけど、マイケル・J・フォックスの演技は伝説的なので、映画的にはよかったのかあと。
『インターステラー』
→幽霊がいるみたいな伏線が、最後に回収されるのは物語構成力がすごすぎ。重力は次元を超える。父と娘の壮大なお話。。。伏線が回収されているラストは、鳥肌が止まらずに、もはや鳥になる。
『時をかける少女』
→細田守映画版、めちゃくちゃ好きです。マコト、チアキの関係が切ない。一般的には筒井康隆先生のタイムトラベルものとしてはコチラの方が圧倒的有名で傑作と呼ばれている。しかし、僕は時の女神に推したい。
さて、時の女神の記事だけかと思いきや、なぜか脱線し、タイムトラベルもので好きだったものを羅列する記事となりましたが、この中から皆さんも好きなものに出会えてくれたら、うれしいです。
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