生産技術というエンジニアを知っていますか?その2
【最新】生産技術エンジニアのお仕事
僕は某メーカで生産技術という仕事をしている。
”生産技術というエンジニアを知っていますか?その2”ということで、前回の記事その1の続きを書く。
まず生産技術とは会社によって異なるが大きく二つのミッションを持っているという前回の話から説明させてほしい。
二つのミッションとは、
- 効率よく製品を製造する方法を開発する。
- 製造を止めない。
だ。
一つ目の説明、効率よく生産するとは生産性を上げることについては既に以下の記事に記載したので興味ある方は参考にしてほしい。
今回は二つ目の製造を止めないについて書く。
あんまり教科書には書いていないが、生産技術のミッションとは何かと聞かれてこれを答えるベテランも多い。
それくらい大事だ。
僕もこれは常に念頭において仕事をしている。
しかし、製造を止めないことが現場の生産技術者にとってとても大事である一方であまり言語化されていない。
そのため教科書などで見ることはない。
何故大事なのか?
その理由は至ってシンプル。
生産が止まる = 商品が出荷できない = 売上が減る
なのでだ。
工場は生産することに価値がある。
つまり商品を作り続けることが存在理由である。そこを忘れてはいけない。
その一方で、品質も犠牲にしてはいけない。
生産を止めないためなら品質を犠牲にしてよいなんてことにはならない。
技術が設計した要求された品質を達成する必要が勿論ある。
不具合品を市場に出しては元も子もない。
良品を製造し続ける。
当たり前だがそれがミッションだ。
まとめると品質を維持しながらトラブった製造設備を立て直したり、不具合品を特定して交換したり、なんやかんや製造が続くようになんとかするのが生産技術の仕事なのだ。
#ザ力技
特にこのことを若手エンジニアは絶対に肝に銘じなければいけない。
製造を止めるな!
である。
この低予算映画のタイトルみたいなミッションを死に物狂いでやらなければいけない。
こういった話から、生産技術に求められる能力に迅速な判断と対応力が挙げられる。
とにかく早く動いて、とにかく早く解決する奴が必要だ。
何を使ってもいい。
ルール無用。
僕は結構その点早く動くタイプだ。
何故なら熟考できるほど頭がよくないと割り切っているので、方向性だけ間違いがないことを周囲に確認したら脇目もふらずに腕力でなんとかやり通すタイプ。
最初のベクトル決めたら、後は何も考えずに突き進むことに決めているので。
#僕のことはどうでもいいので説明やめます。
僕のことはどうでもいいよっていう声が聞こえた気がしたので、話を製造そのものに戻す。
製造を止めないことっていうのは、具体的にどういうことかを掘り下げる。
具体的には
- 製造設備のメンテナンス
- 製造設備の修理
- 不合格品の原因調査
などが挙げられる。
製造設備が故障すると製造が止まる。
なので、迅速に修理する。
または迅速に修理できる体制を整えておくことが生産技術のミッションだ。
備えあれば憂いなし。
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こういった仕事は会社によっては品質技術といったりすることもあるが、多くの会社で生産技術の業務のひとつのようである。
生産を止めないというのはなかなか大変で、工場というのは日々事件が起き、日々解決していか必要がある。
そのためトラブル対応マニュアルも出来る限り準備しておかないとその対応だけで時間を使ってしまい、新しい設備へ時間を使えなくなる。
現場に自分と同じクオリティのことができる人間を、増やしておくことも生産技術の大事な仕事だ。
そして製造トラブルを解決する際には各部署との交渉も大事だ。
品証部とかけあったり、技術部と相談したり、各部署が納得解を持てるように調整する力がないと務まらない。
説明する能力も要求されるのでそこも鍛える必要がある。
まあここまではほとんどが一般論だ。
ここからは僕が思う生産技術の話をしたい。
半分は夢みたいな目標だ。
#いや、君のことはいいってという声が聞こえるがとまりません。
生産技術としてやるべきは、理想の工場の設計だと思う。工場を設計できるのは生産技術だけだ。
理想の工場とは、人、設備、金、時間といった資本全てか最大限活用され、最大限の効果を生むような場所である。
ファブレス化で利益を上げている企業が多い中で、僕はあえてこの工場を設計するということで世界に挑戦したいと思っている。
モノを作るときには必ず工場が必要だ。
そして工場を設計できる人間なんてそうそう多くない。
金がかかるし経験できる人間は一握りだ。
しかし、たくさんの工場を作ってきた日本にはノウハウがまだある。
経験できる人間が限られている仕事は、無理やり手をあげてでも経験しないともったいない。
僕らは労働力と引き換えに給与をもらって働くだけの時代には生きていない。
昨日まであった仕事がなくなる。
仕事のルールがいきなり変わる。
誰でもできる仕事は人間以外がやるようになる。
副業が解禁される。
僕らは一生同じ仕事や職場で終えられるほど甘い世界ではもう生きていけない。
常に自分の価値をスライドさせながら、いまいるエリアから少しずらした横のエリアの需要も取り込まないと稼げない時代だ。
であるならば今の仕事は、自分の価値をスライドさせるための教材でもある。
給与は変わらないから、で楽な選択ばかりしていては価値はスライドしない。
給与が変わらなくても自分の価値を上げる仕事をする。それが最大の投資だ。
金持ちとは金を持っている人のことでなく、金を稼ぐ方法や能力を持っている人のことである。
であるならば僕らは働き方、成長の仕方を理解しておかなければならない。
経験により得られたことは失敗も成功も価値がある。
大きな大きな差が経験できていない人間と開くことは想像に難くない。
人、設備、金、時間。
先ほど資本をこのようにいったが、設備と金と時間の三つは理系学生は全般的に得意だ。
しかし、人になると下手な人が多い。
僕もまだへたくそ、くそっぴだ。
人に最大限働いてもらうにはどうしたらいいか、それを考えるのも生産技術。
人の心の動きまでデザインする。
それがプロの生産技術だと思う。
研究では人は注目を浴びると効率が上がるらしい。
だから現場によく通いよく見てコミュニケーションを取るという地道な活動もめちゃくちゃ大事だ。
現場を蔑ろにしてはいけない。
生産技術で現場からの信頼が厚い人はそこまできちんと設計している。
頼られる部分と、現場に任せる部分とを見極める。
ある意味、現場のリーダーになる必要がある。
僕はリーダーにとって一番重要な条件とは一つだけだと思っている。
それはチームを勝たせることだ。
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こいつについておけばとりあえず勝てる。
そう思ってもらえるかどうかが優秀なリーダーがそうでないかのポイントだと思う。
勝てると信じているチームメイトと仕事ができれば成果は自ずと上がる。
生産技術はかっこいい仕事だと自負しているのだが、学生からの人気は低い。
花形ではないのは理解できる。
やることがものづくりの中核でめちゃくちゃ大事だが地味といえば地味。
しかし、工場を作るという夢を描いたらどうだろうか?
魅力的な新製品を開発する技術部門に比べて花形度は減るが、工場を設計する仕事と考えたら負けないくらいわくわくする。
正直、学生からの人気がないのは個人的にはチャンスとも思っている。
優秀な人間は生産技術になかなかこないので、やる気さえがあれば生産技術で日本でも上位の方にいけるのではないかと企んでいる。
やりがいを感じている人間が少ないが、やりがいのある魅力的な仕事。
それが生産技術だと思っている。
やる気さえあればどんどん貴重な能力を吸収できる。そして何より改善したらすぐに成果が出るのも楽しい。技術部門では成果は製品開発が完了したら出る。
しかし製造部門では日々成果を出せるネタが山ほどある。
ものづくり大国日本なんてのはもう古いかもしれないが、生産技術で負けないエンジニアになる。
技術の差は各国で大差がなくなっていく時代だ。
工場をどうやって改善していき、そこで働く人々をどうやって最大パフォーマンスで働いてもらうか。
人の気持ちまでも設計し、どうしたら最大パワーが出せるかデザインすることを今必死で考えている。
というのを、奥さんに理解してもらいたいブログでした。
#旦那はがんばっているから旦那の仕事に興味持ってね。
#結構熱いんすよ